研究者と研究者を支える人々を応援する「研妻精神」 #22
2020/2/43日間かけた本帰国の最終日
いよいよ日本の空港に降り立った
久しぶりの日本
久しぶりの日本の空気
久しぶりに感じる日本の湿度
久しぶりに感じる日本の雰囲気
など
実感している余裕もなく
小さい子どもたちを連れて
まずは不動産を目指す
一度も下見せずにネットで契約し
細かい手続きは
研妻がスマホで不動産屋と
やりとりをして進めた
鍵はまだない
空港から数時間かけて
いそいそと不動産屋へ移動し
大きなスーツケースを引きずり
担当者と初めて対面
鍵をもらう手続きを
研究者夫がする
はじめましての挨拶も足早にして
新しく住む部屋を案内してもらう
扉の前で不動産屋の店長に
部屋の鍵を開けてもらう
一番先に中へ入ったのは
上の子だった
海外で生まれて
現地の幼稚園に通っていた
そのせいか
そのせいなのか
土足のまま上がり込んでしまった
玄関という概念を
教えておくべきだったと
母である研妻は反省した
いや
なんとなくわかっているものと思っていた
日本人家族だから
子どもも日本の常識を持っていると
思い込んでいたことを反省した
ただ現実は
そこに時間を割いている余裕はなく
何もない普通の部屋に
手配していた家具や家電が
続々と届く
手配漏れの洗濯機は
研究者夫が慌てて近くの
電気屋に買いに走った
子どもが小さいと
洗濯機がないのは致命的なのに
研究者夫はよく理解していなかった
夕方になって
ようやく布団セットが届いた
これでやっと体を伸ばして
眠ることができる
カーテンやゴミ箱などはまだない
海外から日本へ送ったダンボール箱は
届くまで10日くらいかかる
必要最低限のものだけで
一晩を過ごした
こんな力技の弾丸引っ越しは
うまくいかないのではないかと
研妻は思っていた
そんな妻をよそに
夫はやり遂げてしまった
普段の実験は
うまくいかないことが多いのに
今回ばかりはうまくいったようだ
*淡々と現実を受け止める、研妻精神*
困難なやらなくてはならないことは、小さく着手してしまうといいのかもしれない
時には忙しさに身を任せ、小さなステップやほんの一瞬が積み重なり、気がつけばコトが済んでいるかもしれない