研究者と研究者を支える人々を応援する、研妻精神 #30
2020/2/12慣れない海外での帯同生活
自ら暗黒時代と呼ぶ期間の
要因のひとつに
不妊治療がある
不妊治療とはいっても
比較的短い期間だったので
あまり参考にならないけれど
なかなか思うようには授からず
泣いて過ごした時期があった
新しい土地の文化や言葉にも馴染めず
苦悩していた日々に
さらに不妊治療が覆いかぶさる
当時住んでいたドイツでは
「不妊」とは言わず
当てはまるドイツ語の単語を
直訳すると
「子を願う」だった
これが心をほんの少し軽くした
身も心もボロボロの状態だったが
不幸中の幸いといえる
知人の助けがあって
泣きながら
婦人科を受診できることになった
病院に着くと受付で
拙いドイツ語で「私は子供を望んでいる」
と伝える
初回は問診と血液検査だけでおわり
後日受けた検査結果を基に
ホルモン注射を打つことになった
注射をする日は
排卵のタイミングに合わせる必要がある
2回くらい病院で打ってもらったあと
次の注射のタイミングが
日本から友人が訪れてくる日と重なった
その日は都心へ観光する予定だ
それでも注射は続けたい
相談した結果
自分で注射をお腹に打つことになった
消毒ティッシュ
注射器
ホルモン剤と思われる液体
をもらい
手短に説明を受ける
あとは指定された当日に
自分でお腹をつねって
注射を打つだけ
小さい頃から注射が大嫌いな私は
当日夫にその大役を頼んだ
自分でお腹の肉をつねりあげ
夫に注射の針を刺してもらった
自分で望んだことだけれど
涙があふれた
費用は後日自宅へ請求書が送られてきて
振り込むかたちだった
高くても100ユーロか、200ユーロくらい
50ユーロのときもあった
このときはまだプライベート保険だった
*淡々と現実を受け止める、研妻精神*
苦悩した日々を過ごした分、気持ちを思いやることができる相手が増えるみたい