研究者と研究者を支える人々を応援する、研妻精神 #24
2020/2/6海外ポスドク研究者として
海外での帯同生活中に
現地の病院で
最もひどい対応を受けたのは
新生児健診を受けるため
最寄りの小児科へ行ったとき
冬だったので
外は氷点下10℃
雪が降り積もる中
いそいそとマンションの自宅で
新生児の防寒対策をして
当時住んでいた4階のフロアから
地下室まで階段を下りる
ベビーカーに乗せるための
キャリーコット(持ち運べるベビーベッド)に
赤ちゃんを寝かせて
落とさないように
慎重に階段を下りていく
旧東ドイツのエレベーターのない
古い建物だったので
この移動スタイルが日常だった
やっとの思いで
マンションのエントランスに着く
キャリーコットを大型ベビーカーにはめて
帽子の上に更にジャケットのフードをかぶり
寒さの痺れる雪道を
小児科を目指して歩いていく
雪用ブーツでとぼとぼ歩いていく
小児科に到着
受付前のスペースで一気に溶けだした
雪を拭いながら
受付に辿り着く
窓口では
看護師である受付スタッフの
手があくまで待つのが
そこの常識だった
この国の常識でもあった
いつものようにスタッフの作業が
ひと段落するまで数分待たされたあと
私の順番が来た
予約はあるか
予約はあった
予約は間違っていないか
予約は間違っていなかった
保険証はあるか
保険証は新生児だからまだない
この看護師の態度は一変した
健康保険会社に連絡はしたのか
連絡はした
どんなやりとりをしたのか
健康保険会社とのやりとりは夫がしている
現在の状況を細かくつっこまれた
英語で返すと
相手は理解できず
呆れた顔をされる
悪態ときつい突っ込みに対応できるほどの
ドイツ語力は持ち合わせていなかった
こちらは新生児を連れている
なるべく早く済ませたかった
「生まれたばかりだから
保健証はまだない」で
納得してもらえると思っていたことを
反省した
言葉の壁というより
その相手の態度に
あまりにも深く傷つき
翻訳アプリに頼る気力もない
その後どんなやりとりをして
帰宅したかは覚えていない
ただただ深く傷ついた
帰宅後にこのことを
かかりつけの助産師に相談した
なんと
この受付スタッフと
友人であることが判明した
研妻の私は早速この助産師に頼んだ
小児科の受付スタッフの看護師に
新生児の健康保険証の状況を
ドイツ語で伝えてくれるよう頼んだ
そして細かい手続きについて
研究者夫の対応があっているのか
確かめる必要があることがわかった
そんなことになっていると知らない
呑気な研究者夫には
健康保険会社(ドイツのTKだった)と
やりとりしたメールを印刷するよう頼んだ
次の受診に備えて
万全の準備をした(つもり)
後日改めて小児科を訪れると
この間と同じ受付スタッフがいた
ところが今回は様子が違う
明るい表情で挨拶をしてくる
そして笑顔で
「聞いたわよ、あなた私の友人の知り合いなのね」
と気さくに話しかけてくる
これでやっと
この日1日
運がいいなと思いながら過ごせる
*淡々と現実を受け止める、研妻精神*
人を困らせるのも人であれば、困った人を助けるのもまた人であるようだ
コミュニティが小さいほど、人と人との繋がりや絆を侮ってはいけないみたい
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海外の病院スタッフの対応がその日の運勢を左右する研妻については、以前も触れています
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