【研妻会】代表メンバーのNagisaさんへ単独インタビューの記録
研妻会の活動のひとつに
「研妻ラボ」という
試験的に
様々な活動に挑戦するプロジェクトがある
今回は研妻ラボ・プロジェクトの一環として
研妻会代表メンバーにインタビューを実施
研妻会のグランマ(おばあちゃん役)を
名乗っている筆者としては、
このインタビュー・ブログを通して
何かと不安定で不確実性の高い
研究者との結婚を迷われている方々に
ほんの少しでも
寄り添う事ができたら幸甚である
研妻会の誕生
研妻会の誕生は、
Nagisaさんとの出会いから始まった
Nagisaさんの存在がなければ、
研妻会は存在しなかった
なかなか理解を得にくい研究者生活
- とにかく長い学生(修士・博士)生活、奨学金
- 不安定で先の見えない(と言われる)ポスドク
- 覚悟を持った海外研究留学、帯同生活
- 職を得ても任期付きの大学研究員、研究所員
これらを妻(パートナー)の立場で
経験するとなると
想像を超えるものがある
日常生活で出会う人には
話せないことも多い
研究者の夫を持つ妻という
少数派の私たちにとって
研究者の家族特有の悩みを
共感し合える研妻会は
「私はひとりじゃない」と、実感できる
癒しのような活動拠点となっている
(と、グランマは信じたい笑)
研妻会Nagisaさんとの出会い
前置きが長くなったけれど、
筆者(Minae)がNagisaさんに
初めてお会いしたのはコロナ禍で
パンデミックが続いていた2020年
アメリカと日本を
オンラインで繋ぐかたちで実現した
ちょうど2020年は、
朝のルーティンとして
毎日1ブログ、研妻哲学を
内容の一部にカウンセリング技法を用いて
日頃の出来事から感じたことを
あくまでも個人的な「人生観」という意味で
「哲学」として記録していた
かなり個人的な内容であったため
まさか日本から遠く離れた海外で
拙いブログの文章を読んでくださり
共感までしてくださっていた方がいるとは
夢にも思っていなかった
初めてのオンライン対面は
いつも以上に緊張していたことを覚えている
実際にお話を伺ってみると
青年海外協力隊(JICA)として
発展途上国の開発に貢献されていたと聞き
一気にNagisaさんの魅力に引き込まれていった
しかもアメリカ在住なので
英語の方が得意なのかと思いきや
当時はスペイン語の方が堪能だとわかり
とても才能に溢れる魅力的な人だと感じた
あれから月日が流れ
2022年となった今回は、
そんな素敵なNagisaさんへ
改めて単独インタビューをさせて頂いた
ひとりでも多くの研妻仲間の心が
ほんの少しでも軽くなることを願って
ここに記録しておこうと思う
研妻会Nagisaさんへのインタビュー内容
研究者の旦那様との出会い
まずはNagisaさんと旦那様の出会いから
研妻哲学ブログでも
やはり「出会い」の記事は
ずっと人気である
という事で
読者の皆様が最も気にされるであろう
出会いの話題から触れていこう
なんと
お二人とも青年海外協力隊(JICA)だった!
とのことで、ご夫婦揃って
なんて素敵なんだろうと
ため息がでそうなくらい
尊敬の念を抱いている
そして
青年海外協力隊に
行き着くまでの課程にも
敬意を払いたい
(いずれ機会があったら詳細を聞いてみたい)
筆者は詳しくないけれど、
Nagisaさんに教えて頂いたところ
青年海外協力隊は派遣前に
グループにわかれて
研修や訓練を受けるようだ
旦那様とは、まず
そのグループが同じだった
さらには
その訓練後に派遣される国までもが
同じだったそうだ
なんというミラクル!
しかも本来なら1カ国で派遣が終了となるが
滞在先の国の治安が悪化したため
イレギュラーで2カ国目を経験することになり
この2カ国とも
たまたま同じ派遣先となった
もうここまで来ると
ベートーヴェンではないけれど
勝手に「運命」を感じてしまうのは
筆者だけだろうか
帰国後の悩み:遠距離恋愛
帰国の頃、旦那様となる彼は
大学院への進学を検討していた
そうすると必然的に
当時まだ彼女だったNagisaさんも
同じく将来の進路について
悩むことになる
- 就職?
- 進学?
- 同棲?
- 結婚?
- 生活拠点は?
結果的には
Nagisaさんが自身のキャリアを優先することで
ふたりは遠距離恋愛の道へ進んだ
研究者あるある:節約生活
さらに驚くべき点がある
この頃から真剣に
お互いの将来を考えていたNagisaさんは
不安定な研究者生活を支えていくため
既に節約・貯金生活を
スタートさせていたのだ
これが後に
海外研究生活を大きく支える柱となる
学振:ついに結婚
若手研究者との生活が始まると
おそらく一度は耳にすることになる「学振」
日本学術振興会である
ここから予算が獲得できるかどうかで
私たち研究者家族の人生が
大きく変わるといっても過言ではない
Nagisaさんご夫婦も同じく
学振が決め手となって
結婚に踏み切った
当面の生活費が工面できるからだ
ずっと遠距離だった二人が
やっと一緒に生活できるようになった
なんだか筆者までホッとしてしまう瞬間だ
結婚後の悩み
旦那様が大学院生ということで
筆者のケースと同じく
いわゆる学生結婚(旦那様側)だった
今後の結婚生活に
不安が全くないはずがない
(ここは個人的にも深く共感できる)
だけれど、ひとまず
経済的には一定期間
生活基盤が整い、
安定させることができた
うれしい妊娠出産
そんな時、
子どもを授かることができた
ところが
旦那様は学振終了後の進路として
海外の有名大学プログラム(博士)へ
参加することが決まっていた
出産の時期が
旦那様の海外生活と重なるのだ
学生結婚の中でも
博士課程のわりと最初の頃から
子どもがいる研究者はそう多くはない
筆者の5年間の
海外ポスドク研究者帯同生活においても
Nagisaさんと似た環境の
ご家庭と出会ったのは、
日本人研究者家族であれば
1組のご夫婦だけだった
こんな時、ケースが少ないことは
何も問題ではない
というのが筆者の持論である
最も問題なのは、周りの人たちの
変えることのできない
捉え方なのだ
稀に親切心から
色々と意見してくる人がいる
こんな時はたいてい
多数派が常に正しい保障は
一体どこにあるのだろうか
と、深く考えさせられるものだ
そんな経験が
人を強く優しくするのだと信じたい
何はともあれ、
出産には一時帰国中だった旦那様が
無事に立ち会うことができた
そんな嬉しい出産の傍らで
当時Nagisaさんは
大事な身内の闘病と向き合っていた
このストーリーを聞いたとき
筆者は映画の世界に引き込まれた
Nagisaさんの背負ってきた世界が
美しいハリウッド映画のように
脳裏に映って離れない
鑑賞料をお支払いしなくては!と
思わせるくらい
感動的で
深い湖のようで
透明な涙なしには観ていられない
こうして書いていても
思い出しただけで
隠れていた透明な雫が
顔をだしてくるのだ
あまりにプライベートな事なので
ここではその詳細を割愛することにする
(筆者の自己判断)
もちろん
このインタビューブログ記事は
Nagisaさんの承諾を得たあとでの
公開となっている
もし詳しく知りたい研妻の方がいらしたら
ぜひ研妻会でお会いしましょう
ついに渡米!海外帯同生活
こんな稚拙なブログのページには
到底納まらないくらい
ドラマティックな事が目白押しの
Nagisaさんの結婚にまつわる人生
これまで
ご自身のキャリアを優先してきたけれど
家族一緒に暮らすことを選んだ結果
ついに渡米を決意!
渡米後は、
経済的な苦労と向き合いながらも
温かい家族愛に包まれた結婚生活
- 子どもの教育(言語含む)
- 家族設計、計画(ライフイベント)
といった
常に先がみえない生活の中に、
確かな愛情を鮮明に見ることができる
研妻Nagisaさんの強さ
これまで海外協力隊の経験を含め
わりと遠距離での生活が
長かったNagisaさん
「旦那様の仕事、キャリアを心から応援しているため彼の夢を叶えるためならば、一時的に離れて暮らすことにさほど抵抗を感じない」と言う
この感覚は
まだ筆者は味わえていないので
今後、将来的に子どもの教育を
優先させる等の理由で
遠距離や
二地域居住(別居婚)となる日が
仮に来ることになっても
Nagisaさんがいるなら
「大丈夫かも」
「何とかなるかもしれない」
と、思わせてくれる
非常に頼もしい仲間だ
研究者と結婚して良かったこと
インタビューの後半に
結婚して良かったことを伺った
- 長期研究で不在でなければ、ほぼ毎日一緒に食卓を囲める
- 平日に自由行動ができる日もある
- ずっと一緒にわくわくしていられる
- 好きな研究に没頭している姿を凄いと感じられる
- 一緒にいられる時間の大切さを教えてくれる
心境の変化
最近は、
「悩みを悩みと思わなくなった」
と、語ってくれたNagisaさん
アメリカと日本で別居していた頃は
通勤時間のときに
よく色んな悩みを検索していたそうで
その頃に比べれば
だいぶ強くなったと自覚されている
その背景には
研妻会で出会った仲間の存在もあり
「ひとりではない」と
感じることができるからだそうだ
「奥さんが元気だと、旦那さんも安心」
という
未来の研妻を励ますような
言葉をいただいた
謝辞:読書録
誠に勝手ながら、
Nagisaさんにぴったりな詩を
ブログでご紹介して
締めくくりたいと思う
チェコ・プラハ生まれ
ドイツ語圏の詩人として知られる
リルケの言葉、名言である
「愛されることはほろびること、愛することは持続すること」
「人はどんなに愛しているときも孤独が必要」
愛と孤独について
「人は愛する者をたえず手放し、自由にしなければならず、引きとめてはならない」
旦那様の研究生活を応援するため
一時的な遠距離・二地域居住婚に
前向きであるNagisaさんの
たくましい奥様としての姿勢が
まさにリルケの詩と重なる
2022年5月のインタビュー記録
Nagisaさん、
貴重なお時間をありがとうございました
(読書録)
書籍名:『人生の知恵 リルケの言葉』
高安国世 訳編
彌生書房、平成3年
(追伸)
結婚5周年、心より祝福します!
*淡々と現実を受け止める、研妻哲学*
心惹かれる限り、いくらでも書けるのかもしれない