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2020/02/29

【研妻哲学47】海外育児、発熱した子どもにイブプロフェン

研究者と研究者を支える人々を応援する、研妻哲学 #47

2020/2/29


幼い子どもたちを連れて

日本で子育てを開始

寒い冬は特に

小さい子どもは風邪をひく

熱もだす

そうして

かかりつけの小児科へいくと

解熱剤として座薬をくれる



ふと

ドイツでお世話になった

小児科を思い出す

夜中に発熱と嘔吐で

救急で診てもらった



数年前の

ドイツの

寒い冬のある日

夜中に突然

嘔吐したわが子

熱も高い

体がぐったりしている

これはまずい

小児科の救急に

行くべきだろう

まだ一度も行ったことがないけれど

これは行くしかないだろう

と夫婦で話しあった結果だった



幸い意識はあって

会話はできたので

救急車を呼ぶほどではないと

判断して

真夜中にタクシー会社へ電話し

母である研妻のつたないドイツ語で

なんとかしてタクシーを呼ぶ



厚手の服を着せて

大学病院の

小児科救急窓口へ向かった



目が半分くらいしか

あいていないような看護師に

受付で症状を伝えると

いったん医者に確認しにいった後

私たちのところへ戻って来て

「イブプロフェンは飲ませましたか?」

と聞いてくる

「まだです」

と答えると

その場に

子ども用液体イブプロフェンと

シリンジと呼ばれるスポイトのような

液体を吸い取るアイテムを

持ってきてくれて

子どもに飲ませてくれた



そこへ医者が到着し

問診を受け

帰る頃には

すっかり元気な様子のわが子



ドイツでは

発熱した子どもに

イブプロフェンを飲ませるのは

当たり前だということを

この日まで知らなかった




ある国では当たり前のことが

他の国では当たり前ではない




*淡々と現実を受け止める、研妻哲学*


当たり前だと思っていることは、当たり前ではないのかもしれない


常に二律背反(にりつはいはん)の意識を持っているといいかもしれない




2020/02/28

【研妻哲学46】研究者もカウンセラーも日々実験をしている

研究者と研究者を支える人々を応援する、研妻哲学 #46

2020/2/28



研究者の夫は

研究のために

日々実験を行っている



実験が仕事になるのは

研究者に限った話ではないらしい



研妻の私が

相談者の話に

耳を傾けるとき

カウンセリング全体を

カウンセラーと相談者

両者の人格を混ぜて

化学的変化をおこす実験

と表現した海外の専門家が

その昔にいたそうだ



そうなると

カウンセラーは

研究者でも滅多にやらないであろう

自分自身が実験材料になる

という荒技をつかっていることになる

身を削って仕事をしている

ともいえるのかもしれない



一方で

時代がうつり変わった後

話を聴くことに焦点をあてると

カウンセラーは避雷針のようであれ

ともいわれているそうだ



以前

研究者のストレスは

避雷針のように受け流すのがいいらしい

と触れたことがあったが

ずっと心や脳にためておいては

身がもたないのだろうと解釈している




*淡々と現実を受け止める、研妻哲学*


研究者もカウンセラーも、まずは自分の心身を大切にすることから実験が始まるのかもしれない


誰かを支えたり応援するには、自分を大切にすることから始まるのかもしれない




・関連する研妻哲学

【研妻哲学43】研究者とカウンセラーの共通点>>


【研妻精神37】海外ポスドク研究者夫の「実験が進まない問題」>>




・参考文献

書名:カウンセリングの実際問題
著者:河合隼雄
出版社:誠信書房
発行年:1970年


書名:プロカウンセラーの聞く技術
著者:東山紘久
出版社:創元社
発行年:2000年


2020/02/27

【研妻哲学45】ウイルスで急な休日。私の過ごし方

研究者と研究者を支える人々を応援する、研妻哲学 #45

2020/2/27



パンデミックという言葉は

印象が強い

その強いインパクトを与える

新型コロナウイルス自体は

マイルドであるそうだ

強烈ではないゆえ

感染が感染を呼ぶ



突然休みになった

子どもの習い事

急きょ中止になった

学校や企業のイベント

いよいよ在宅勤務の

許可がおりた会社員



不確実な世の中であることを

思い知らさせる



急に休みになったり

急に在宅勤務に

切りかわったりすると

仕事だった時間や

通勤・通学時間が

休む時間となる



外出を控えるとなると

家の中で休むことになる



何をしようかな

と考える




いつまで休みなのかな

と不安に思う




体そのもの

免疫を日々

維持してくれている

細胞



休んでいる

と思っている自分の中に

休めない

心と脳と細胞がいる

ということに気がつく



休んでいる自分の中に

休んでいない自分もいる

と認識することもできる



そう認識すると

休んでいない自分を

大切にしたくなってくる

いたわりたくなってくる



そんな過ごし方も

ひとつの選択肢




*淡々と現実を受け止める、研妻哲学*


休んでいるようで、休んでいないのかもしれない

そんな休めない心身をいたわる時間にするといいのかもしれない



2020/02/26

【研妻哲学44】子どもの研究参加、子どものキャリア教育にも

研究者と研究者を支える人々を応援する、研妻哲学 #44

2020/2/26


妻の私は研究者ではないけれど

研究者の夫を持ち

研究者を支える立場として

夫の研究に直接関係ない

他の分野の研究者の研究にも

できることには協力してきた


*関連*
【研妻精神8】海外出産時、研究材料として胎盤を提供>>



そんな母である私の背中の

影響なのか

研究者夫の背中を見ているせいか

子どもを対象に研究をしている

女性研究者の

研究に参加したことのある

我が子が

また研究に参加したいと言い出した



まだ幼い我が子は

そもそも研究という言葉の

概念さえ危うい

にもかかわらず

どうやら前向きで

ポジティブな印象を

持っている様子



はて

これはもしかしたら

子どものキャリア教育に

繋がるのではないか

将来研究者になってもならなくても

研究という仕事に

何かポジティブなイメージを描ける

そんな大人への成長に

繋がるのではないか



有償無償に関係なく

協力を求めている研究者がいたら

自分のできる範囲で協力する

そして子どもに背中を見せる

それがやがて

子どものキャリア観に

繋がるのかもしれない




*淡々と現実を受け止める、研妻哲学*


子どものキャリア教育には、大人の背中があるといいかもしれない


2020/02/25

【研妻哲学43】研究者とカウンセラーの共通点

研究者と研究者を支える人々を応援する、研妻哲学 #43

2020/2/25


研究者の夫と

カウンセラーの研妻には

共通点がある



どちらも

可能性に賭ける

という共通点



研究者の夫は

ほぼ毎日

うまくいくかどうかわからない

実験を

うまくいくかどうかわからないけれど

続けている



うまくいく可能性もあるし

うまくいかない可能性もあるので

うまくいく可能性にかけている

とも言える



心理カウンセリングも同じで

相談者の可能性を尊重し

基本姿勢として

一方的なアドバイスはNGとされ

相談者が自ら気づいたり

考えたりできるよう

その可能性にかけて

時には待つことも大事

重みと迫力のあること




研究者である夫と

研究者ではない妻も

可能性に賭ける職業

とくくるなら

きっと同じカテゴリー




*淡々と現実を受け止める、研妻哲学*


そういう意味では似たもの夫婦なのかもしれない

そして、物事の本質はやはり似ているのかもしれない





・参考文献
書名:カウンセリングの実際問題
著者:河合隼雄
出版社:誠信書房
発行年:1970年


2020/02/24

【研妻哲学42】女性研究者と研妻たちの女子会。AIを考える

研究者と研究者を支える人々を応援する、研妻哲学 #42

2020/2/24


大変ありがたいことに

女性研究者のかたと

私と同じように研究者の夫を持つ奥様と

一緒に食事をする機会をいただいた



会話の中で

「考え方の癖」という

キーワードが出てきた



食事を頂きながらということもあり

その場では深堀せず

次の話に進んだように

記憶しているので

ここで少し立ち止まって考えてみたい



考え方に

クセがあるとするならば

この研妻精神は

まさに

そのクセそのもの



どんな出来事に対して

どんな風に感じるか

ということを綴っているので

考え方とか

心の動き

心の感じ方

の記録でもある



ふと

このデータがたくさん蓄積されたら

どうなるだろう

と考えてみる



将来

研妻の私(母)から

我が子(子ども)へ

なにか残せるだろうか



たとえば

将来AIが

もっと一般家庭に普及して

故人AIと対話することが

当たり前になったら

研妻AIとか

研妻ロボットとかとなり

子どもだけでなく

孫までもが

対話してくれるだろうか



果たしてそれが

残された

今を生きる人の人生において

いいことなのかは

わからない



いいかもしれないし

わるいかもしれない





*淡々と現実を受け止める、研妻哲学*


可能性に賭けると、人生がより楽しくなるのかもしれない



(新しい可能性について考えるきっかけをくれた女子会と出会いに感謝)


2020/02/23

【研妻精神41】結婚相手が研究者なら、持っていたい素質

研究者と研究者を支える人々を応援する、研妻精神 #41

2020/2/23



研究者の夫が

まだ研究者になるかわからない

学生だった頃に

付き合いを始めて

研究者として

食べていけるかわからない

学生のまま

研妻の私と

結婚した



結婚当初

研究者夫の経済力はほぼゼロ

人間性といった内面に

惹かれたので

将来的に

きっと彼なら

仕事を得て生活していけるだろう

という

なんの保証もない

可能性に賭けた

結婚だった



結婚してからも

研究者としての雇用は

ずっと任期付きなので

任期が切れたら

次の仕事がある保証はないけれど

彼となら

どうにかこうにか

生きていけるだろう

という

可能性に賭けている

結婚生活が

ざっくり10年近く

続いている



研究者の結婚相手は

賢いギャンブラーであれ

というのは過大表現となり

言い過ぎなので

可能性に賭けられる素質を

持っているといいかもしれない

と言い換えたい




*淡々と現実を受け止める、研妻精神*


可能性に賭けるに値するか、心の目でよく確かめることが大事かもしれない



2020/02/22

【研妻精神40】EUに長期滞在、研究者家族のビザの種類

研究者と研究者を支える人々を応援する、研妻精神 #40

2020/2/22


ドイツでは

主に研究者や医者などを対象とした

EUにおける

外国人労働者の新指令が出たのが

2012年の夏のこと



研究者夫は当時

そんな新しい指令の恩恵を受け

外国人研究者と帯同する家族として

滞在ビザは

EUブルーカード」と呼ばれる

種類のもであった



このビザは

語学力も問われなければ

就労に制限もない



つまり

国際結婚した外国人家族であれば

語学学校に通い

ある一定の語学力をつける必要があり

その証明も提出する義務があったり



海外赴任等で駐在する家族であれば

就労許可がおりない場合が多く

働かなくてよいのだけれど



研究者に帯同する家族は

すべて自由であるぶん

語学を習得したければ

自分で学校を探して

実費で努力する必要があるし

働けるビザなので

働いていないと珍しく思われる



ドイツで生活を始めた頃は

そんな外国人向けの新指令の

存在を知らなかったので

現地で国際結婚した人が

当たり前のように語学学校に通い

その地域に根差した歴史など

習得した知識を

ふとした会話の中で教えてくれたり

駐在している人が

働くという選択肢はなく

習い事を始めた様子を目にすると

ちょっと不思議に思っていた



「あれ、なんか私のビザは違う」

と気づくまで

3年か4年くらい

かかってしまった




*淡々と現実を受け止める、研妻精神*


すべて自由なのがいいとは限らないらしい


2020/02/21

【研妻精神39】海外生活で水道管破裂!つわり中に家を追い出される

研究者と研究者を支える人々を応援する、研妻精神 #39

2020/2/21



妊娠が発覚して間もなく

襲ってくるつわり

何をしても気持ちがわるい

食べたら戻してしまう

色んな臭いに敏感になる

歯を磨くだけで吐き気がする

心配した知人に救急車を

呼ばれたことがあるくらい

悪阻で苦しむ体質だった



そんなある日

寝室で寝ていられず

リビングルームのソファで

横になっていると

浴室の方からシャワーの音が

聞こえてくる

上の階に住んでいる人が

ずいぶん長い時間シャワーを

浴びているな

と呑気に思いながら

吐き気を忘れようとウトウトする



すると

突然

シャワーだった音が

洪水のような

ゴォーーーーーゴォゴォゴォ!

という音に変わる



慌てて起き上がる

寝室で寝ている夫のところへ

行こうと

床に足をおろすと

ピシャっ

と床が水に浸かっていて

一気に焦る



足を水に濡らしながら

パシャパシャと

廊下を歩き

寝室にいる夫を起こす



夫も慌てる



深夜

真っ暗な海外の田舎町で

家がどんどん浸水していく

どうすればいいのか

誰に助けを求めればいいのか




こんなとき

対処法を考えるのは妻で

実行するのは夫になる場合が多い



まずは研妻の私の考えで

マンションの向かいに住んでいる

住人に助けを求める

しかし

小さい子どもと暮らすお向かいの家族

夜中に玄関でうるさくしたら

子ども達が起きてしまう

と思うと

ベルを鳴らし

起こすことができなかった



そんな間にも

水はどんどん溢れてくる

ついに家の玄関を開ける度に

中の水が一気に流れ出すようになった

階段をつたってマンションの

エントランスまで流れおちる


急がねば



これは緊急事態だ

緊急なときは

そう

救急とか

警察だ

そう思った私は

夫に電話をかけてくれるよう頼む

が躊躇する夫

それでも水は止まらない



仕方なく警察に電話する夫

助けを求めた

すると

ゆっくり状況を説明した後

浸水の対応は警察ではなく

消防が行うとのこと



やがて消防隊が到着する

騒ぎでお向かいの

ご夫婦も起きて

外へ出てきた



消防隊が入るので

中にいる

研究者夫と妻の私と上の子は

家から出なくてはならない

と指示を受ける

水に浮かぶマットレスで寝ていた

子どもを夫が抱きかかえ

荷物も持たずに

サンダルで家を出る



こちらの状況を見かねた

お向かいのお宅が

家を追い出された

私たちを受け入れてくれた

つわりの吐き気を抑えながら

お向かいのお宅に

お邪魔させてもらった



そして

ドイツの消防隊が手際よく

水道管破裂を対処してくれた




この水浸しの家には

もう住めないと

知らされた






*淡々と現実を受け止める、研妻精神*


頼れる身内のいない海外生活、誰がいつどんなとき「助っ人」になるかわからない

ご近所付き合いを大切にしておくといいかもしれない


2020/02/20

【研妻精神38】ドイツで空港からの電車が遅延したら

研究者と研究者を支える人々を応援する、研妻精神 #38

2020/2/20


研究者夫の仕事の都合で

始まった海外生活

1年目に限界を感じた研妻の私は

思い切って一時帰国をした

罪悪感を抱えながら

当時はまだ子どももいなかったので

夫をひとり残して

日本へ帰った



日本で久しぶりに再会する

家族や友人たちに背中を押され

日本の食材を抱えて

再びフランクフルト空港へ戻ってきた



空港に直結している駅から

ドイツ鉄道DBに乗って

夫の待つ家に帰ろうと

スーツケースを転がし

駅のホームへ到着したが

乗る予定の電車(ICE)の発車時刻に

電車が来ない

ホームにドイツ語でアナウンスが流れる

周りの人々がちらほら移動を始めるが

全く気にせず留まる人もいる

「これはどういう事だ?」

全員移動してくれれば

私もその流れに乗ればいいと思った



ドイツ語の長いアナウンスが理解できず

状況が掴めない

ひょっとすると電車に乗れないかもしれない

気持ちが焦る



とりあえず

印刷して手に持っていたチケットを

近くの人に見せる

「これ乗れますか?」

英語で尋ねる

すると

その人は答えに困った様子で

何も教えてはくれなかったが

その人の周りで私の様子を見ていた

別の人々が声をかけてくれる

「今アナウンスで

向かい側のホームに変更になった

階段があるけど、急げば間に合う」

親切に教えてくれた



結果

ギリギリセーフで

電車に乗ることができた



最初に声をかけた相手は

英語がダメだったのか

何も答えてくれない人だったので

おそらく第一声で「すみません」と

聞いていたら

応答なしで

こちらの話もできず

電車に乗り遅れていた可能性もあるが

印刷したチケットを広げ

乗りたい電車をアピールしていたおかげで

周りで気づいた人に助けてもらえた





*淡々と現実を受け止める、研妻精神*


海外で周りの人に助けを求めるとき、前置きをおかず単刀直入に聞くといいのかもしれない



2020/02/19

【研妻精神37】海外ポスドク研究者夫の「実験が進まない問題」

研究者と研究者を支える人々を応援する、研妻精神 #37

2020/2/19


日本で博士号を取得し

卒業後は

海外で就職したかたちとなる

ポスドク研究者夫(当時)



いざ受け入れ先で実験を

始めてみるものの

なかなか進まない

という問題が浮上する



実験が進まない理由は

お国事情も絡んでくる



まず

実験に協力してくれる

技術者、テクニシャン

同僚の研究者

上司やラボスタッフの

休みが多い



祝日もそうだが

イースター休暇に

サマーホリデイだけで

数ヶ月とぶこともある

これにクリスマス休暇も加わるので

「あの実験どうなったかな」と

同僚に聞きたいとき

その同僚が長期休暇だったり

「あの実験を進めていいかな」と

上司に聞きたいとき

その上司が長期休暇だったりして

実験がはかどらない



そしてお世話になる

協力業者の対応も

日本の常識を超える

遅さのようで

注文した試薬や

機材が届くまで

かなり時間がかかる



さらに実験で使う機械が

他のラボとも共有していると

その予約だけで四苦八苦することになる

予約した時間に来ないで

夫が予約した時間に来ることもある

つまり予定通りにいかないのである



ただでさえうまくいかない実験が

ますます進まない



海外で研究するには

多様な常識に触れる必要がある





*淡々と現実を受け止める、研妻精神*


常識が人の数だけあるような環境で研究を進めるには、対話する力が大事らしい

思うようにいかないときのストレスは、避雷針のように受け流すのがいいらしい


2020/02/18

【研妻精神36】任期付き若手研究者の海外挑戦、契約交渉

研究者と研究者を支える人々を応援する、研妻精神 #36

2020/2/18



日本人の若手研究者が

海外で研究者として雇ってもらうとき





外国人の若手研究者が

日本で研究者として雇ってもらうとき




全然違うように見えるけれど

ひとつ共通点がある



どちらの場合も

その国をいずれ離れる意思があると

契約年数が伸びる傾向にある

ということ



はっきりとした理由は

わからないけれど

海外で研究していた夫は

契約交渉の際

いつもボスに

いずれ日本に帰りたいと伝えていた



反対に当時の夫の同僚は

(夫と同じように外国人の立場だった)

ずっとその国に残って研究を続けたいと

伝えていたそうだ



結果

夫の契約年数は

その同僚よりも長くなった

夫は年単位なのに対し

同僚は月単位だった



これは日本にも当てはまる



もちろん例外もあるが

経験上おおかたこの傾向がみられる



若手研究者の何かヒントになれば

と思いここに書くことにした




良くもわるくも

研究生活を続けるには

環境の変化がつきものという現実




*淡々と現実を受け止める、研妻精神*


物理的には離れても、共同研究というかたちでまた繋がることができる世界

「離れてもまた一緒に仕事したい研究者」と思わせることが契約更新のキーポイントになるのかもしれない




2020/02/17

【研妻精神35】研究者、英語の必要性について

研究者と研究者を支える人々を応援する、研妻精神 #35

2020/2/17



研究者の夫が

学生(学部生)の頃から

一緒に過ごしてきて

かれこれ10年以上の月日が経った



夫を通じて出会った研究者

研妻の個人的な活動を通じて

出会う研究者も

年々増えていく



日本でも

海外でも

わりと様々なジャンルの研究者と

出会う機会に恵まれた



ふと考えてみる

今まで出会った研究者の方々は

英語が必要になる機会が

どのくらいあっただろう



答えはおそらく世代によって違う

現在の一般的な教授世代は

日本の大学を卒業するとき

今ほど英語力を求められなかったはず



研究者を目指す学生は昨今

英語で卒業審査を受けなければならない

場合も多くなっている



研究者を目指す現代の学生には

大学の卒業審査会で

相手に伝わるくらいの英語力が

必要だといえる



卒業審査には

事前準備の時間が与えられる

運が良ければ

周りがアドバイスをくれるなど

助けてもらえるだろう

なので

本人のやる気次第ともいえる

英語に苦手意識があっても

乗り越えられるレベルともいえる

おそらくTOEIC500点ちょっとレベルでも

乗り越えられる



分かれ道は大学を卒業してから

海外の大学を卒業した者は

この限りではないが

日本の大学を卒業して

英語にそこまで触れることなく

研究者の道へ進むとなると

やはりそれなりの英語力が求められる



わが家の研究者夫の場合

渡航前に受けたTOEICの点数は

ここに書いたらひかれるくらい

低い点数だった



にも関わらず

渡航して

海外の受け入れ先で毎日英語を使い

何気ない会話の重要性に気づき

必死に習得しようという意識が芽生えたら

海外生活3年目には

渡航前とは見違えるくらいの

英語力が身についた

そして5年も経つ頃には

英語に対して自信が持てるようになった



それでも英語で論文を書くとなると

たくさん赤が入るらしい

まだまだ修行は続くが



研妻が把握しているのをまとめると

研究者を目指す学生にとって

必要となる英語力は

専門分野の理解に問題がないレベルで

他に簡単な日常会話ができればOK



大学を卒業後

企業に就職せず研究者を続けるには

専門分野以外の英語力も

ある程度必要になるため

聞く、読む、書く、話すを

バランスよく学び続けるといいようだ






*淡々と現実を受け止める、研妻精神*



今は英語ができなくても焦る必要はないみたい

英語の土台となる日本語(母語)を鍛えておけば、いずれ背水の陣に追い込まれたときに英語力はそれなりに伸びてくるかもしれない



*関連する研妻精神*

【研妻精神9】留学経験なし、英会話を習わず海外挑戦した結果>>




2020/02/16

【研妻精神34】研究者と遊園地のダンサー、その共通点は?

研究者と研究者を支える人々を応援する、研妻精神 #34

2020/2/16



本帰国後の慌ただしさが

落ち着いてきた頃

家族みんなで

テーマパークへ出かけた

子どもは久しぶりの

遊園地に大興奮

入場すると同時に

色んなスタッフが笑顔で

出迎えてくれる



子どものお世話の間に

パレードやショーも観た

大人も非日常を楽しんだ



そしてふと思った



目の前で煌びやかな

衣装を身にまとい

笑顔を振りまきながら

踊るダンサーと

研究者はどこか似ている



もちろん見た目ではない



研究者は実験の際に

たいてい白衣を着るが

カラーバリエーションはない

あってもいいと思うが

赤やピンクの白衣を着た

研究者に出会ったことはない



そんな外的要因ではなく

内的要因が似ている気がした



テーマパークや遊園地で

踊るダンサーも

研究者も

どちらも「夢を与える仕事」

そんな共通点があるのではないか



与え方は違っても

確実に夢をもらった研妻親子は

家への帰り道

再び日常生活という

現実に舞い戻った






*淡々と現実を受け止める、研妻精神*


夢を与えることは、まず夢を見ることから始まるのかもしれない






2020/02/15

【研妻精神33】海外帯同、3年~5年で体調を崩して帰国

研究者と研究者を支える人々を応援する、研妻精神 #33

2020/2/15



海外でポスドク研究者として

日々頑張る夫と

帯同生活を送っていたとき

週末の休暇を利用して

新幹線のような電車に乗り

数駅先の隣町にある

日本食レストランを訪れた



当時私たち夫婦が住んでいた

ヨーロッパの小さな田舎町には

日本食レストランはなかった



久しぶりの和の空気

久しぶりの日本語接客に

心が躍った



店主は夫婦でお店を切り盛りしていた

美味しい日本食を頂きながら

店主の日本人夫婦との会話も弾む



ふと

こんな話を耳にすることになった

「海外で頑張る日本人は

たいてい3年から5年で

身体を壊して

体調を崩して

帰国していく」



当時は帯同生活2年目

この話にちょっぴりビビる



そして今振り返ると

一理あることがわかる



海外生活が始まり

最初の1年はやみくもに頑張る

次の2年も気が抜けない

そうして迎えた3年目に

身体が悲鳴をあげることがある



病院のシステムや処方薬も

日本とは異なる国で

体調管理をしていくことは

意外と難しい



そして心の健康を維持することも

簡単なことではないが

意外と見落とされがち

心因性によるものが

体調に現れることもある






*淡々と現実を受け止める、研妻精神*


「もう既にここまでよく頑張った」と一息ついて、自分の身体と心をいたわることも大切かもしれない





2020/02/14

【研妻精神32】海外生活でバレンタイン、チョコより花束?

研究者と研究者を支える人々を応援する、研妻精神 #32

2020/2/14



研究者夫の海外ポスドク時代

バレンタインの翌日

研妻の私は

夫の同僚(ドイツ人・女性)と

顔をあわせる機会があった



最初の挨拶でまず

「バレンタインどうだった?」

と聞かれた研妻



内心焦る

ここは男性が女性に愛を贈る

文化のお国



口が滑っても

バレンタインのバの字さえ

頭から抜けおちていた

研究者夫から

特に何ももらっていない

なんて言えない

という想いにかられた




そして研妻の私はこう答えた

「えーっと、美味しいチョコを食べました」

一瞬ぽかんとした表情を見せた夫の同僚




研妻は嘘をついていない

バレンタインの前日

最寄りのスーパーマーケットへ行き

普段買うチョコレートより

ちょっぴり値のはるチョコを買って

バレンタイン当日に

それを食べたのは事実




急いでその夫の同僚に聞き返す

「あなたはどうでしたか?」

同僚は笑顔で

「私は彼氏から花束をもらって~」

とロマンティックなバレンタインを

過ごしたことを話してもらい

研妻は内心ホッとする





*淡々と現実を受け止める、研妻精神*


海外でバレンタインを迎える研究者は、お国の文化を踏まえてパートナーに気を遣わせない配慮があってもいいかもしれない



2020/02/13

【研妻精神31】任期付きポスドクから、任期付き大学研究員

研究者と研究者を支える人々を応援する、研妻精神 #31

2020/2/13



「任期付き」という響きは

一般的に負のオーラを放つらしい



雇用が安定しない

将来が見えない

未来が不安な

任期付き雇用


といった具合に

ネガティブな印象がずらりと並ぶ



大学研究員となった研究者夫は

大学院を卒業してから

ずっとこの「任期付き」という

ポジションを謳歌している



任期付きポスドクとして

海外修行中に

何回か契約を更新した後

任期付き大学研究員となった



もはや任期付きであることが

当たり前

普通のことになった



研妻は思う



実はそれほど

ネガティブなものではないのかも

将来に対して

そんなに罪深いものでもないのかも



あと何年働けるか教えてくれている

契約満了を迎えたら次へ行けるよう

今から準備するよう

事前に知らせてくれている

突然の勧告とは違う

予め告知されている

任期満了のとき

必要以上に困らないよう

猶予期間を与えてくれている



それはありがたいこと



たしかにその後の保証は何もない

何もないが

少なくとも契約がおわるまでは

保証してくれている



それもありがたいこと



そう捉えると

未来の見え方がちょっと違ってくる







*淡々と現実を受け止める、研妻精神*



ポジティブな雰囲気を放つ任期付き雇用があってもいいかもしれない










2020/02/12

【研妻精神30】海外で帯同生活、不妊治療と検査を経験

研究者と研究者を支える人々を応援する、研妻精神 #30

2020/2/12



慣れない海外での帯同生活

自ら暗黒時代と呼ぶ期間の

要因のひとつに

不妊治療がある



不妊治療とはいっても

比較的短い期間だったので

あまり参考にならないけれど

なかなか思うようには授からず

泣いて過ごした時期があった



新しい土地の文化や言葉にも馴染めず

苦悩していた日々に

さらに不妊治療が覆いかぶさる



当時住んでいたドイツでは

「不妊」とは言わず

当てはまるドイツ語の単語を

直訳すると

「子を願う」だった

これが心をほんの少し軽くした



身も心もボロボロの状態だったが

不幸中の幸いといえる

知人の助けがあって

泣きながら

婦人科を受診できることになった



病院に着くと受付で

拙いドイツ語で「私は子供を望んでいる」

と伝える



初回は問診と血液検査だけでおわり

後日受けた検査結果を基に

ホルモン注射を打つことになった



注射をする日は

排卵のタイミングに合わせる必要がある



2回くらい病院で打ってもらったあと

次の注射のタイミングが

日本から友人が訪れてくる日と重なった

その日は都心へ観光する予定だ

それでも注射は続けたい

相談した結果

自分で注射をお腹に打つことになった



消毒ティッシュ

注射器

ホルモン剤と思われる液体

をもらい

手短に説明を受ける



あとは指定された当日に

自分でお腹をつねって

注射を打つだけ



小さい頃から注射が大嫌いな私は

当日夫にその大役を頼んだ

自分でお腹の肉をつねりあげ

夫に注射の針を刺してもらった

自分で望んだことだけれど

涙があふれた




費用は後日自宅へ請求書が送られてきて

振り込むかたちだった

高くても100ユーロか、200ユーロくらい

50ユーロのときもあった

このときはまだプライベート保険だった






*淡々と現実を受け止める、研妻精神*



苦悩した日々を過ごした分、気持ちを思いやることができる相手が増えるみたい













2020/02/11

【研妻精神29】海外で帯同生活、別居しなかった理由

研究者と研究者を支える人々を応援する、研妻精神  #29

2020/2/11



海外で帯同生活をしているとき

「もうダメだ」

「もう限界だ」

「もう日本へ帰ろう」

「夫を置いて日本へ帰ろう」

何度もそう思った



実際に耐えきれなくなり

夫をひとり残して

数日間の一時帰国をしたこともあった



研妻の私は

渡航時にフルタイムの仕事を

退職してついてきたので

稼ぎがない状態

航空券代を払い

日本へ帰るには

それなりの覚悟が必要だった



それでもなんとか粘り

耐え忍び

結局別居はしなかった



最大の理由は

気づいたらできていた家庭方針

「苦労は家族で乗り越えよう」



各家庭それぞれ

大々的に掲げてはいなくても

色んな方針があると思う



わが家も大々的に掲げていたわけではないが

当時はなんとなくその方針に行き着いた



苦しいとき

辛いときこそ

家族みんなで乗り越えよう



意外にも夫の方がこの気持ちが強く

度々妻を励ました






*淡々と現実を受け止める、研妻精神*



支えているようで、実は支えられているのかもしれない




2020/02/10

【研妻精神28】海外ポスドク研究者夫、妻子と出張へ

研究者と研究者を支える人々を応援する、研妻精神  #28

2020/2/10




大学研究員となった研究者夫の

海外ポスドク時代

子どもが生まれて間もない頃

夫のボス研究者から打診が来た

「ちょっとよその町に出張しないか?」

「どのくらいですか?」

「たぶん2ヶ月あれば十分だろう」


どうやらその町の研究所にしかない

機械や試薬があるらしい

それらを扱う認定を受けるためらしい




出産したばかりの研妻にとっては大打撃

あれこれ考える余裕もなく

子どもが小さすぎることを理由に

出発を遅らせてもらい

その間に家族みんなで一緒に

出張先で滞在できるよう

ゲストハウスを手配してもらった



通常は自分たちでゲストハウスの

手配をするのだが

今回はラボ都合ということで

お願いすることができた



出発当日

バタバタとよその町へ向かった

トラムとドイツ鉄道DBを乗り継ぎ

町の中央駅に到着


そこまではよかったのだが

そこから道に迷ってしまった

よその町にたどり着くことを目的に

移動してきたので

中央駅に到着した後のことを

考えていなかった



こんなとき

夫は自分で調べたがる

妻は人に聞きたがる



妻は小さい子どもを抱っこ紐に入れて

夫は大きめの旅行カバンを持っていたので

夫はゆっくり調べていられず

妻はそれを待つ余裕もなく

このときばかりは

妻スタイルをとることに夫も同意した



そうと決まれば早速

妻の私は近くを歩いている

現地の人に声をかけた

ゲストハウスの手続きをする

目的地までバスで行けることがわかった

いそいそとバスに乗り

なんとか到着



よその町のゲストハウスは

当時住んでいた町のゲストハウスと違って

大きくて新しくて綺麗だった

旧西ドイツ・旧東ドイツの差を

実感した瞬間となった



そこから約2か月間滞在するのだが

どこに行けば

スーパーで食材が買えるのか

どこに行けば

トイレットペーパーやオムツが買えるのか

どこに行けば

何が買えるのか

よその町で0歳児と新生活を送るための

日用品を買いそろえるという難題が

研妻を待っていた



夫は到着した当日から

何かと忙しくしていた

町の中心地からだいぶ離れたゲストハウス

小さい子どもを抱っこ紐に入れて

バスに乗って買い物できる場所を

探し歩くのは研妻の任務となった



町の中心地へ赤ちゃんと移動して

色んな現地の人に声をかけながら

途中で雨にも降られながら

どうにかこうにか

夫に頼まれた充電器のプラグも含め

新生活に必要なものを最低限

買い集めることができた



さすがに疲労が隠せない研妻

頭の中では

こんなフレーズがよぎる


「なんで私こんな事をしているんだろう?」


ふと立ち止まると

そんな想いにさいなまれる



そんな気持ちをよそに

慌ただしく新生活はスタートした



慣れない帯同生活で

自分を見失っていた

渡航当初からは

全く想像がつかない

忙しさだった







*淡々と現実を受け止める、研妻精神*



慌ただしさに流されることは、何もすることがないよりいいのかもしれない







2020/02/09

【研妻精神27】海外での帯同生活から本帰国、妻に残るモノは?

研究者と研究者を支える人々を応援する、研妻精神  #27

2020/2/9



長い長い

果てしなく長く感じた

海外ポスドク時代を

なんとか乗り切った大学研究員夫



帯同した妻は?

ずっと一緒に過ごした妻には何が残る?



研究者の夫は

社会的信頼度が

ちょっぴり増して

新しいラボ

教授や同僚

日本人学生や留学生

といった新しい出会い

新しい仕事が降ってくる



えーと

何か忘れていませんか?

妻もここにいるのですが?



時に現実は厳しい

妻には何も残らない(らしい)



妻は帯同せず自分の仕事に

邁進していればよかった?

家庭を優先させるために

諦めた仕事を引き受けるべきだった?

物凄く頑張ったはずなんだけど

妻のわたしには何が残る?



一緒にポスドク時代を頑張ったという

事実はたしかに残る

夫が研究で留守の間

学会で他の国へ出張したときも

小さい子どもを守ってきたとも言える



それって帰国後の妻の

キャリアに繋がる?

子どもが小さいと

雇ってくれるところは少ない?



それではあまりに悲しすぎる

大学教員を目指すポスドク研究者は

研究者自身も大変な思いをするが

同じように

もしくはそれ以上に

支える妻や家族も苦労をしているもの



今までずっと支えてきた自分自身を

たまには自分で褒めてあげたい

褒めてくれる人は

自分しかいないから



出口の見えないトンネルの中を

何年もよく耐えた

数々のトラブルにも

よく対処してきた

英語ができなかったポスドク夫を

英語ができるように育てた

研究者夫が一皮むける環境を

与えることができた

夫がここまで成長できたのは

きっと妻のおかげ

実際はどうかわからないけど

たまにはこんなふうに

自分で自分を褒めても

バチはあたらないかもしれない



企業に就職という選択肢を

たまたま選ぼうとしなかった

夢見る研究者夫を

ここまで成長させることができるのは

きっと妻の私だけ








*淡々と現実を受け止める、研妻精神*



何も残らないのなら、自分で自分を褒めてもいいかもしれない


自分にしかできないことだったと思うと、また頑張れるかもしれない
















2020/02/08

【研妻精神26】厳しい研究者の道のり、不安な時の対処法

研究者と研究者を支える人々を応援する、研妻精神  #26

2020/2/8




研究者の道が険しいほど

研究者を支える人々の

道のりも険しくなる



先が見えなくて不安になったり

苦しい現実に疲れてしまったり

論文の数の争いに

惑わされそうになったり

査読の辛辣なコメントに

胸を痛めたり

実験より科研費の優先度が

上がったり

研究より指導することに

時間をとられたり



研究者の道を選んだ人なら

研究者を支えることになった人なら



一度は通る道



そんなとき研妻は

こう思うようにしている



査読してもらえて良かった

論文を審査に出すことが

できて良かった

審査に出す論文があって

良かった

論文を書き終えることが

できて良かった

一行でも書き進めることが

できて良かった

論文を書くテーマが

見つかって良かった



現実に辿り着くまでの長い道のりを

誇らしく思う



そして

それでも心が折れそうなとき

厳しすぎる現実に対して

空想という武器も持ち込む








*淡々と現実を受け止める、研妻精神*



将来が不安で仕方がないとき、現在に至るまでのプロセスに目を向けてみるのもいいかもしれない







2020/02/07

【研妻精神25】女性研究者、女性博士への敬意と関わり方

研究者と研究者を支える人々を応援する、研妻精神  #25

2020/2/7




研究者となった夫と

結婚しなかったら

博士号を取得している女性博士

女性研究者たちと

出会ったり

仲良くなったりする機会は

ほとんどなかったように思う



研究者夫の海外ポスドク時代は

言い換えれば

研妻にとって

女性博士との絆を深めるものでもあった



研妻自身は研究者ではないので

海外で帯同生活を送る前は

そんな彼女たちに出会うと

同じ女性という手前

拠り所のない気持ちが

心に沸き上がることもあった



けれども研究者に囲まれた生活が

何年も続き

当たり前となり

彼女たちと親しくなると

自然とそんな気持ちは消え去っていた



夫の大先輩となる女性研究者が

妻である私の

海外帯同生活を気にかけてくれたり


夫と同世代の女性研究者と

子どもを通して親しくなったり

住まいが離れても

手紙やビデオ通話を楽しみ

家族ぐるみのお付き合いが続いたり


夫よりも若いが夫と同じように

大学研究員となった若手女性研究者と

たわいもない会話で盛り上がったり



研妻の中で

女性博士や女性研究者に対する

拠り所のない気持ちは

親しみを持った敬意へと変わった



女性研究者と親しくなればなるほど

彼女たちの魅力にとりつかれる

一緒にいる時間や

彼女たちとの会話が楽しい



いつも忙しい彼女たちを

ますます応援したくなる



関わる機会が増えるほど

彼女たちは

博士や研究者である前に

ひとりの女性であり

同じ人間である

ということを

再認識させられる




念のため付け加えておくと

もちろん女性研究者以外への

敬意も持ち合わせているし

忘れてはならない

大事なこと






*淡々と現実を受け止める、研妻精神*



女性研究者と関わるとき、心の立ち位置は

正面で向かいあうのではなく、横の位置から同じ方向を一緒に見つめるイメージを持つといいかもしれない







2020/02/06

【研妻精神24】海外で病院に行ったら、塩対応に心が折れた話

研究者と研究者を支える人々を応援する、研妻精神  #24

2020/2/6



海外ポスドク研究者として

海外での帯同生活中に

現地の病院で

最もひどい対応を受けたのは



新生児健診を受けるため

最寄りの小児科へ行ったとき



冬だったので

外は氷点下10℃

雪が降り積もる中

いそいそとマンションの自宅で

新生児の防寒対策をして

当時住んでいた4階のフロアから

地下室まで階段を下りる


ベビーカーに乗せるための

キャリーコット(持ち運べるベビーベッド)に

赤ちゃんを寝かせて

落とさないように

慎重に階段を下りていく

旧東ドイツのエレベーターのない

古い建物だったので

この移動スタイルが日常だった


やっとの思いで

マンションのエントランスに着く

キャリーコットを大型ベビーカーにはめて

帽子の上に更にジャケットのフードをかぶり

寒さの痺れる雪道を

小児科を目指して歩いていく

雪用ブーツでとぼとぼ歩いていく


小児科に到着

受付前のスペースで一気に溶けだした

雪を拭いながら

受付に辿り着く



窓口では

看護師である受付スタッフの

手があくまで待つのが

そこの常識だった

この国の常識でもあった



いつものようにスタッフの作業が

ひと段落するまで数分待たされたあと

私の順番が来た



予約はあるか

予約はあった

予約は間違っていないか

予約は間違っていなかった

保険証はあるか

保険証は新生児だからまだない


この看護師の態度は一変した


健康保険会社に連絡はしたのか

連絡はした

どんなやりとりをしたのか

健康保険会社とのやりとりは夫がしている

現在の状況を細かくつっこまれた


英語で返すと

相手は理解できず

呆れた顔をされる



悪態ときつい突っ込みに対応できるほどの

ドイツ語力は持ち合わせていなかった



こちらは新生児を連れている

なるべく早く済ませたかった

「生まれたばかりだから

保健証はまだない」で

納得してもらえると思っていたことを

反省した



言葉の壁というより

その相手の態度に

あまりにも深く傷つき

翻訳アプリに頼る気力もない


その後どんなやりとりをして

帰宅したかは覚えていない

ただただ深く傷ついた



帰宅後にこのことを

かかりつけの助産師に相談した

なんと

この受付スタッフと

友人であることが判明した



研妻の私は早速この助産師に頼んだ

小児科の受付スタッフの看護師に

新生児の健康保険証の状況を

ドイツ語で伝えてくれるよう頼んだ

そして細かい手続きについて

研究者夫の対応があっているのか

確かめる必要があることがわかった



そんなことになっていると知らない

呑気な研究者夫には

健康保険会社(ドイツのTKだった)と

やりとりしたメールを印刷するよう頼んだ



次の受診に備えて

万全の準備をした(つもり)



後日改めて小児科を訪れると

この間と同じ受付スタッフがいた

ところが今回は様子が違う


明るい表情で挨拶をしてくる

そして笑顔で

「聞いたわよ、あなた私の友人の知り合いなのね」

と気さくに話しかけてくる



これでやっと

この日1日

運がいいなと思いながら過ごせる






*淡々と現実を受け止める、研妻精神*



人を困らせるのも人であれば、困った人を助けるのもまた人であるようだ


コミュニティが小さいほど、人と人との繋がりや絆を侮ってはいけないみたい




*関連記事*

海外の病院スタッフの対応がその日の運勢を左右する研妻については、以前も触れています

↓ ↓ ↓ ↓

【研妻精神8】も読んでみる>>




2020/02/05

【研妻精神23】海外生活でちょっとした人種差別を受けたら

研究者と研究者を支える人々を応援する「研妻精神」 #23

2020/2/5



ヨーロッパに住んでいると

アジア人・東洋人差別的なものに

でくわすことは

たまにある

ドイツでは多くはないが

たまにある



スーパーマーケットのレジに並んでいる時

レジ係の元気のよい声が聞こえてくる

「ハロー」

「グーテンターク」

私の前に並んでいる人にも

そのまた前に並んでいる人にも

同じように挨拶している



いよいよ私の番がきた

「・・・」

あれ?

何も言われない

挨拶されない

私だけされない



モヤモヤを抱えながら

お会計を済ませる



すると

私のうしろに並んでいた人には

また「ハロー」と言っている

声が聞こえてくる




もちろんいい気持ちはしない





*淡々と現実を受け止める、研妻精神*



ちょっとした差別はどこにでもあるみたい


そんなとき、心にわいてくるそのエネルギーを「自分は誰かに差別的な言動はとらない」と心に誓うエネルギーに変換するといいかもしれない










2020/02/04

【研妻精神22】乳幼児と海外から本帰国!日本到着の日

研究者と研究者を支える人々を応援する「研妻精神」 #22

2020/2/4



3日間かけた本帰国の最終日

いよいよ日本の空港に降り立った

久しぶりの日本

久しぶりの日本の空気

久しぶりに感じる日本の湿度

久しぶりに感じる日本の雰囲気

など

実感している余裕もなく

小さい子どもたちを連れて

まずは不動産を目指す



一度も下見せずにネットで契約し

細かい手続きは

研妻がスマホで不動産屋と

やりとりをして進めた



鍵はまだない



空港から数時間かけて

いそいそと不動産屋へ移動し

大きなスーツケースを引きずり

担当者と初めて対面

鍵をもらう手続きを

研究者夫がする



はじめましての挨拶も足早にして

新しく住む部屋を案内してもらう



扉の前で不動産屋の店長に

部屋の鍵を開けてもらう



一番先に中へ入ったのは

上の子だった



海外で生まれて

現地の幼稚園に通っていた

そのせいか

そのせいなのか

土足のまま上がり込んでしまった



玄関という概念を

教えておくべきだったと

母である研妻は反省した

いや

なんとなくわかっているものと思っていた

日本人家族だから

子どもも日本の常識を持っていると

思い込んでいたことを反省した



ただ現実は

そこに時間を割いている余裕はなく

何もない普通の部屋に

手配していた家具や家電が

続々と届く



手配漏れの洗濯機は

研究者夫が慌てて近くの

電気屋に買いに走った

子どもが小さいと

洗濯機がないのは致命的なのに

研究者夫はよく理解していなかった



夕方になって

ようやく布団セットが届いた

これでやっと体を伸ばして

眠ることができる



カーテンやゴミ箱などはまだない

海外から日本へ送ったダンボール箱は

届くまで10日くらいかかる



必要最低限のものだけで

一晩を過ごした



こんな力技の弾丸引っ越しは

うまくいかないのではないかと

研妻は思っていた



そんな妻をよそに

夫はやり遂げてしまった



普段の実験は

うまくいかないことが多いのに

今回ばかりはうまくいったようだ






*淡々と現実を受け止める、研妻精神*


困難なやらなくてはならないことは、小さく着手してしまうといいのかもしれない


時には忙しさに身を任せ、小さなステップやほんの一瞬が積み重なり、気がつけばコトが済んでいるかもしれない





2020/02/03

【研妻精神21】学振で海外挑戦する若手研究者へ

研究者と研究者を支える人々を応援する「研妻精神」 #21

2020/2/3




学振おめでとうございます





これから海外挑戦するとなると

準備で忙しくなるはず



忙殺される前に

一呼吸おいて

ちょっとだけ想いを巡らせてみる



自分を育ててくれた家族

研究を後押ししてくれる仲間や

お世話になった先生、事務スタッフ

恋人や新しく築いていく家族

受け入れを許可してくれる渡航先の研究者



「誠意を持って接したか」



研究とは全く関係ないけれど

長く続けていくには

案外大事なこと

当たり前すぎて

普段は見えないこと

だからこそ

このタイミングで

一度問いかけてみる



渡航先でもきっと

何かとサポートしてくれるであろう人々に

感謝の気持ちを伝えてみる



研究者の世界は意外と狭い

同じ分野の仲間とは

これからもどこかで接点を

持つこともあるだろう



そのときに後悔しないように

これからも活躍していくために

当たり前のことを

当たり前にするだけ






*淡々と現実を受け止める、研妻精神*



「当たり前」はすぐに忘れ去られてしまうから、ふとした時に思い出させてくれる人が近くにいるといいみたい


もし見つからない場合は、この「研妻精神」に戻ってくるといいかもしれない


研究者夫を応援するように、あなたのことも応援している「研妻精神」に










2020/02/02

【研妻精神20】ポスドクから大学教員になった研究者夫の人間性

研究者と研究者を支える人々を応援する「研妻精神」 #20

2020/2/2



レストランで一緒に

アルバイトをしていた

大学生の頃

まだ彼氏彼女になる前




彼はお店のおしぼりや

ストローや紙ナプキンの

補充をひとりで行っていた



その場には彼しかいない

補充しなくても

他の人がしてくれるかもしれない

誰も見ていない

誰も指示していない

彼がやらなくてもいい仕事




たまたま遅いシフトだった彼女は

出勤直後に

そんな光景を目の当たりにした




その7年後

海外ポスドク時代

まだ着任したばかりで

どこに何があるかも

手探り状態だった頃




ある日

研究者夫の帰りが遅かったので

あとで理由を聞いてみた




夫はこう答えた

「研究室の備品の補充をしていたんだ」





*淡々と現実を受け止める、研妻精神*



次に使う人を思いやる気持ちはボーダレス


誰も見ていないところで、存在感は増すのかもしれない






2020/02/01

【研妻精神19】大学研究員の妻、ポスドクの妻、博士課程の妻

研究者と研究者を支える人々を応援する「研妻精神」 #19

2020/2/1



研究者夫と

研究者ではない研妻の私が

結婚したのは

彼が博士課程の学生だった頃

学生結婚



妻としての肩書きがあるとするなら

(実際はないが)



博士課程で研究中の院生の妻

海外ポスドク研究者の妻

大学研究員の妻



と変わってきた

おそらく周りからの見方は

こんな風に変わってきた



研究者夫のポジションが変わる度に

社会的な立場だけが

微妙に変化してきた



けれども変わらないものがある

それは夫の内面

すべてとは言わないが

学生時代からずっと横で見てきた

妻の立場からすると

肩書きは変わっても

中身は変わっていない

という現実が見えてくる



お互い大学生の頃は

大学の学食も

お金がかかると言って

行くのをためらっていた

研究者夫



学食で食べることが

ようやく普通のことになった



その一方で

靴下は穴があいても

履き続ける




価値観は変わっても

変わらない人間性

と言うのだろうか






*淡々と現実を受け止める、研妻精神*



肩書きに惑わされそうなときほど、心の目を駆使するときかもしれない












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