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2020/03/25

【研妻哲学72】海外で妊娠中に緊急入院。帰国を断念

海外妊婦生活、緊急入院


研究者夫がドイツ留学していた頃
二人目を妊娠し
酷いつわりに苦しんでいた

身も心も追い詰められて
夫以外の手助けもほしくなり
安定期がすぐそこまで来ていたので
一人目の子供と一緒に、日本に帰り
里帰り出産しようかと
日本での生活を想像して過ごしていた
つわりで気持ちが悪いなかの
唯一の楽しみであった

そんなある日、家の水道管が破裂して
その日以降、住めなくなってしまう

急きょ町外れにあるホテル暮らしを
余儀なくされ、浸水した部屋を
片付けるためホテルと往復する生活

つわりで吐きそうになりながらも
様変わりした住み慣れた部屋の中を
無理のない姿勢で
できる範囲で片付けていた

遠いホテルに滞在しながらも
水浸しの家から新しい家に
なんとか引っ越せることになり
事前に移動しやすいよう
ホテルをチェックアウトして
新しい家の近くに住む友人宅に
泊まらせてもらうことになった

バタバタと荷物を運びおえて
一人目の子供と友人の子供を
遊ばせていた矢先
妊婦の私に訪れた予期せぬ出血

どうやって病院に向かったのか
覚えていないが、慌てて医師に
診てもらったところ
今日このまま帰らせることはできない
と言われてしまう

緊急入院することになり
頭の中が不安で埋め尽くされる

引っ越し当日に立ちあえず
荷物の選別や掃除もできず
周りに迷惑をかけた
つわりをいいことに掃除を
疎かにしていた薄汚れた部屋の
掃除を、友人家族が手伝ってくれた
と後になって夫から聞いた
恥ずかしいやら、情けないやら
申し訳なくて、ありがたい気持ちだ

その後もたまに、
今でも何か必要なものが出てくると
「あの家に置いてきてしまった」
と思い返すことがある

入院中は大半を泣いて過ごし
どん底の気分を味わった
退院後も再び出血しないように
しばらく寝たきり状態が続いた

寝室の天井を見つめながら
いつもなら思いつかないようなことも
頭に浮かぶようになってしまい
普段の精神状態ではいられなかった

日本での出産を諦めて
現地で出産することになった





*淡々と現実を受け止める、研妻哲学*



奇跡に遭遇する場所は、絶望の淵かもしれない






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