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2020/03/17

【研妻哲学64】ドイツ移民生活。自宅のトイレで傘をさした日

ドイツで日本人家族の移民生活


日本からドイツに引っ越して1年が
経つ頃の話

一般的に1年以上生活すると
移民という枠に含まれるらしいので
わが家はドイツで生活する
日本人移民家族といえる

当時住んでいた小さくて狭い
ゲストハウスから
旧東ドイツの古びたマンションへ
引っ越すことになった

研究者夫の外国人同僚が
他へ就職することになったので
部屋を引き継いでくれる

荷物の出し入れを終えて
夫の同僚が残していった物を片付け
やっと自分達の部屋だと
実感できるようになった

そんなある日
トイレに入ろうとドアを開けると
天井から水が落ちてくる

ポタポタよりも激しい流れで
壁や床も濡れてしまっているし
便器の場所にも
結構水が落ちてくるので
仕方なく玄関に置いてあった
傘を持ってきて、さすことにした

後にも先にも
自宅のトイレで傘をさしたのは
この日だけ

上の階にはドイツでも日本でもない
国からはるばるやって来た移民家族が
住んでいるので
この水はおそらくそのファミリーの
部屋から流れ落ちてきているはず

そう思いながらも
まだ挨拶くらいしか交わしたことのない
間柄に加えて、ドイツ語の壁もあり
直接言いに行く勇気はでなかった

後日、不動産屋を通して事情を知った
旧東ドイツの配管がわからず
洗濯機の排水ホースを間違ったところに
さしていたことが原因だった

国が違えば言葉だけでなく文化も違う
なかなか正しいホースの差し込み口を
周りに聞けなかったのだろうと想像できる
異国の地で健全な精神状態では
なかったのかもしれないと想像できる




*淡々と現実を受け止める、研妻哲学*


相手のことを思いやるとき、距離感があるほど想像が膨らむのかもしれない




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