海外でYesとNoが反対のとき
羽田からドイツへ引っ越す日
研究者夫とふたりで
ドイツの受け入れ先の研究施設がある町に
やっとの思いで到着すると
移動中の電車の中で連絡をしていた
夫の新しい上司が車で迎えに来てくれた
まだどこに何があるのか
町の中心はどこなのかもわからない状態で
滞在先となるゲストハウスまで
案内してくれるというので
早速車に乗り込んだ
山道を上がっていく途中
食料品の買い出しを提案してくれた
初めてのドイツのスーパーマーケット
値札や商品のパッケージの文字も読めず
あとでゆっくり買いに来ようと思った矢先
上司が質問してくれた
「あの大きなショッピングカート使う?」
夫が私に目を向けるので咄嗟に
「いや」と夫に日本で返した
いや、カートは使わなくていい
と言いたかったのだが
最初の「いや」を聞いた上司が
カートを持ってきてくれた
日本語の否定ワード「いや」が
英語のYesのカジュアル版「Yer」か
ドイツ語のYesである「や」に
変換されてしまったようだった
どちらにせよ誤解を招いてしまった
これに限らず言語的に反対に答えないと
伝わらない場面に多くでくわした
例えば英語で「これまだよね?」
と聞かれて
「うん、まだ」と言いたいとき
Yesを使いたくなるのだが
Noと言わないとならないので
慣れるまで多少気苦労があった
ちなみにブルガリアでは
Yesは首を横に振り
Noは首を縦に振るそうなので
それはそれで大変なのではないかと
想像してしまう
*淡々と現実を受け止める、研妻哲学*
Yesが「いいえ」で、Noが「はい」になる海外生活、摩擦が起こらないわけがないのかもしれない