海外修行中の研究者夫と
まだドイツに住んでいたとき
なんの縁もゆかりもない土地に
住むことになってしまった
と内心嘆いていた
ドイツに引っ越した当初は
いろんな意味で
生活が苦しかったので
せめて言葉の壁がなければ
もっと生きやすいのではないか
という気持ちが大きくなり
学生の頃まで遡り
第二言語でドイツ語ではなく
フランス語を選んだことを
夫婦揃って後悔していた
実際にドイツで
生活することになる日まで
ドイツと無縁で暮らしてきたことに
途方に暮れていた
あんなにドイツとは何の縁もない
と思っていた
そう信じていた
そう確信していたのに
長かったドイツ生活をおえて
日本に帰国し
すっかり日本の文化に
感覚が戻った頃
ふと手にした本のある一文が
目に留まった
なんとドイツ帝国の誕生と
研妻の誕生が一緒だった
ないと信じていた縁を見つけてしまった
*淡々と現実を受け止める、研妻哲学*
縁がないと嘆くのは、縁を見つける努力をしていないだけなのかもしれない