海外で生活を始めたばかりの頃
引っ越しの手続きが一段落して
周りを見渡す余裕がでてくると
言葉や文化の違いに心が折れそうになり
日本に帰りたいとホームシックになった
ひとりで国際ボランティアに
参加したときも
夫と一緒に海外生活を始めたときも
同じように
日本の良さばかりが思い浮かび
辛く苦しい時期を迎えた
そんな私を救ってくれたのは
絵画観賞である
もともと学生時代には博物館学芸員課程の
授業も履修していて
実際に東京都内の美術館での研修にも
参加したことのある美術館好きにとって
海外生活の癒しとなるのは絵画だった
足しげく美術館や博物館に通った
海外生活で日本語に触れることにも
うえていたので
日本語で書かれた絵画集を見つけては
癒されていた
その理由がようやくわかってきた
美術館や本で絵画に触れて得られる癒しが
日本で家族といることで得られる癒しに
重なっていたからだった
その当時は母国や家族の癒しを
求めていたなんて思っていなかったけれど
帰国して改めて振り返ることが
できるようになるとますます
絵画に心の癒しを求めていたのだなと
素直に認めることができる
*淡々と現実を受け止める、研妻哲学*
母国や家族が恋しいとき、心静かに絵画と対話してみるのもいいかもしれない
様々な時代を生きた絵画たちが、何か話しかけてくるような気分になるかもしれない