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2018/08/08

ドイツ人が移民に寛大でいられる理由は?

ドイツに住んで数年、移民に関して実際に感じたことを書きます。



あくまでも個人的な肌感覚にすぎませんが、実際にドイツに住んでみると、公共の場でのあからさまな人種差別的行為は非常に少ない印象を持ちます。




全くないわけではありません。住み始めた当初は文化の違いもよくわかっていなかったので残念な思いをしたこともありますが、極々わずかです。



長年住んでいると全然気にならない程度で、気をつけていれば避けられることがほとんどです。




随分前に滞在していたイギリスの田舎町に比べると、格段にドイツの方が移民に対して寛大&治安や町の雰囲気も良いと感じています。




近隣の他国に比べると、ドイツは移民にも寛容で優しい国のように思えますが、少し掘り下げると、ちょっぴり異なる一面も見えてきました。




たとえば「国籍はドイツでも、出身地(出生地)などのルーツ(親)がドイツではなくて生粋のドイツ人であると言えない場合、たとえ出世できたとしても上層部およびトップにはなれない」と言っている人もいます。



中には、「宗教によって就職や出世が優遇される人もいる」と聞きました。



これは歴史的背景によるもので、実際に特定の宗教の人々は優遇される場合があるそうです。



このように多種多様な人種が集まる職場では、色んな思いが渦巻いています。




また、学部や地域にもよると思いますが、身近にいる修士号を取得予定で就活中の移民の学生は、定職を見つける事にとても苦労している様子。




職探しが難しいのは移民に限った話ではありませんが、定職に就く前のインターンシップの受け入れでも、移民とドイツ人の間には目に見えない壁があるようです。




比較的仕事を見つけやすいベルリンなどの都市部では、近年家賃の高騰が進んでいるとも聞きました。



地方に住んでいる場合、都心部になかなか職探しに出られない理由はここにもあるようです。



そして最低賃金も上昇し、それに伴いカフェやレストランのメニュー料金も値上がりました。



それ以前から上昇傾向にはあったそうですが、益々雇用主は人を雇うことに慎重になっている可能性があります。




実際はそうでなくても、「移民=生活保護」という印象を持つ人はまだまだいるようで、移民というフィルターをかけられずに社会で活躍するのは難しいといえます。




ドイツが移民に対して寛容なのはあくまでも表面的な話。




ドイツ人が移民に対して表面的に寛大でいられる背景には、移民は就職や昇進の際に生粋のドイツ人には勝らないという現実が、安心感に繋がり、それが寛容さをもたらしているのかもしれません。




ドイツに永住する移民は、見えないところで拭いきれないしがらみを抱えているように感じられます。



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