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2020/05/03

【研妻哲学111】欧州の夏のような日本。海外ポスドク夫、家電なし生活の思い出

海外ポスドク夫と夏の思い出

最初の緊急事態宣言から26日目
日本全国の緊急事態宣言から17日目

気温が上昇し、春を通り越して
夏が来たような暑さの日本

まだ夏本番ほどの湿気がないので
ヨーロッパの比較的カラッとした
夏が思い出される

海外ポスドク研究者の夫に帯同して
ドイツで一番長く住んだ家には
冷凍庫がなかった

近所のスーパーで大きめのアイスを
買ったあとは急いで
食べきるしかなく、最後にドロドロの
アイスをスプーンですくっていたのも
今となっては良い思い出

当時ないものは冷凍庫だけでなく
電子レンジもない
トースターもない
炊飯器もない
テレビもない
という「ないない生活」だった

夏の暑い部屋で、お鍋をぐつぐつさせて
吹き出る汗と一緒に溢れるお湯を眺めながら
お米を炊いたこともある

妻の私は早く日本に帰りたかったので
いつ日本に帰ってもいいように
物をなるべく持たないようにしており
家具家電は揃えていなかった

この時はいつ日本に戻って生活できるか
未定で、1年後になるかもしれないし
2年後、または3年目以降になるかもという
状況から、常に仮の住まいに身を置く生活

家電は必要最低限のまま暮らす方が
身動きがとりやすいと判断し
不便でもさほど苦には思っていなかった

冷凍庫、あったらいいなーくらいの
軽い感じでいる方が現地に縛られず
精神的にも気楽に過ごせた

きっと真逆の人もいるだろうが
私の場合は根無し草スタイルの方が
居心地よく感じていた

早く日本に戻りたいけれど
海外で頑張る夫について現地での
生活をまっとうしなくては、という
心の負担を、物を持たない生活に
置き換えることで、少しでも心の重荷を
軽く感じたかったのだろうと思う

私なりのバランスの取り方だった

その頃に比べれば今は自粛とはいえ
エアコンと炊飯器が欠かせない日本で
かなりまともな生活が送れている

日本で新たに借りた家で
海外修行時代にエアコンがなく、
ただただ暑さに耐えていた日々を
懐かしく感じながら
エアコンの掃除を始めた夫

そんな夫を横目に私は
子供たちの相手をしながら
ダイニングテーブルを片付ける

折り返し地点に来た
ゴールデンウイーク中のわが家の1日は
こうしてまた過ぎていく

日本の今住んでいる土地の
夏のうだるような暑さが
今からちょっと恐ろしくなる
2020年5月3日の記録




*淡々と現実を受け止める、研妻哲学*


不便や物足りない生活の捉え方は人それぞれかもしれない






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