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2018/12/20

ドイツ、移民女性の出産事情

ドイツで出産した移民の立場から、ドイツ移民女性の出産事情について触れていきます。


1年以上住んでいると移民と定義されるようなので、わが家は移民としてドイツに住む日本人家族ということになります。


国際結婚であれば配偶者にドイツ語能力が求められ、ある一定以上の語学習得が必須なようですが、研究者家族の場合、ドイツ語能力は求められません。


そんな背景もあり、何年住んでもドイツ語は苦手なまま。ついつい英語で凌いでしまうため、言葉の壁は健在です。


言葉、文化、気候など、あらゆる面が母国とは異なる環境で、逞しく出産する移民の女性たち。


ほんの数年前は産科で移民と思われる女性を見かけることはほとんどありませんでしたが、最近はよく見かけるようになりました。


2015年をピークに大量の移民を受け入れ、2019年を目前に控えた現在は、当時受け入れた移民の女性が出産するケースが増えていることを肌で感じています。


私の知る移民女性は、ほとんどドイツ語がわからない状況の中、家族に支えられて出産しました。


出産、産後の入院中はナースや助産師とドイツ語でのやりとりが必須になりますが、病院スタッフは片言のドイツ語しかわからない新米移民ママの対応に慣れています。


新生児を抱いた相手に長い文章が伝わらないとわかると、重要な単語を大きくゆっくり発音し、身振り手振りで優しく伝えます。


手続きなど、どうしても詳細を確認する必要がある場合には、家族の中でドイツ語がわかる人に通訳をしてもらい、対応していました。


何よりも感心したのは、病院スタッフの対応能力の高さです。


ドイツ語能力が低い相手でも、それが当たり前であるかのように、非常に慣れた様子で対応するのです。


慌てる様子などは一切ありません。


田舎町ではドイツ語ができないと冷遇される場合もあるので、この産科のアットホーム感は新鮮でした。


私も実際に言葉の壁がある中での出産を経験していますが、この新米ママの移民女性の逞しい姿から、「異国で出産するのは自分だけじゃない」「1人じゃない」と勇気をもらいました。


私自身も含め、様々な事情で母国での出産ではなく、ドイツで出産することになった移民女性。


そんな女性たちを受け入れる体制がある程度できあがっているドイツ。


色んな意見がある中、移民の立場としては有難い体制であると言えます。